以下映画『運命のボタン』ネタバレ含む。
どうやら『アイアムアレジェンド』の作者が原作者となっているらしい。日本でいえば化物語流行ったからりすかもアニメ化してみるかみたいなノリだったんじゃないかな。しかし映画でやるとは。外国はスケールが違う。
観る前にビラを読んでみたら、以下のような内容だった。
『金銭面の問題を抱える家族に突如渡されたボタンは、押すと一億円が手に入るが、代償として見知らぬ誰かが死んでしまうというものだった! 彼らは究極の選択を迫られる!』
ボタンって、スイッチね。洋服についてるやつじゃなくて。
あらすじを読んでまず思いついたのは『ミリオンダラー・ベイビー』。尊厳死の選択というテーマの映画だ。『ミリオンダラー』のようにボタンを押すか否かで揺れ動く家族たちの心理を描くのかなあと思っていた。
だが全然違った。開始三十分ほどで妻は突然ボタンを押した。正直びびった。アンパンマン観てたら急にジャムおじさん殺人事件とでも銘打たれそうな展開になったくらいびっくりした。でもまあこれはこれで面白かった。
でも最終的にSFになったのには唖然とした。
物語の核心をいうとこうだ。ボタンは地球外の超高度な文明をもつなにかが人類に対して行った試練のための装置だった。ボタンは主人公たちの家族以外にも配られていて、ボタンを押す人間が多ければその地球外生命体は人類を滅ぼすらしい。
プロモーション詐欺じゃねえかと思った。ビラにはSFチックなことは一言もなかったからね。まああまりSFを前面にだすと一般受けしないだろうという考えがあったんだろうが。
『アイアムアレジェンド』の作者の作品って時点で察するべきだったのだろう。『アイアムアレジェンド』はちらっと見たがなんかバイオハザードしてたからな。劇場で上映してたころやってたCMから受ける印象と違いすぎて笑った。プロモーション詐欺はもうこのころからやってたのだ。
で、オチはというと、妻がボタンを押したとき、以下のような殺人事件があった(押した事による代償だろう)。
・主人公たちの家族とは違う家族の、夫が妻を殺害。
・妻は無抵抗で即死。現場は彼らの自宅。
・彼らの子供がその家の一室で監禁状態にされていた(ようにみえた)。
この殺人事件はしばらく本筋とは絡んでこないんだけど、主人公たち家族がボタンの真相を突き止めようと奔走して、紆余曲折あって上記の地球外生命体云々がネタバレされたあと、息子が地球外生命体に誘拐される(家族構成説明してなかった、夫と妻と息子がひとり)。
で、地球外さんは「ボタンを押した報いだ」とか言って息子の視覚と聴覚を奪ってしまう(超文明だからなんでもできちゃうんだぜ!)。そして地球外さんは夫が妻を殺せば息子は正常に戻ると言い出す。殺さないと息子は一生そのままだとも言う。
そして夫は妻を手にかける。妻が死んだ瞬間は、また別の家族がボタンを押した瞬間だった。映画は終わる。
その息子が解放されたのは鍵のかけられた部屋だった。つまり上記の殺人事件はこの家族と同じことが起こった結果なのだった。ここだけ妙にミステリっぽい。
とまああらすじをばーっと書いてみたが・・・どうだろう? 僕は正直釈然としなかった。あらあらこれは惨劇だ。いやなことだ。で、それがどうしたの? ってかんじ。そんなこといっちゃいけないんだろうが・・・(笑)
なんだろう、強欲っていけないことですよって言いたかったのだろうか。
夫が妻を殺すシーン、ボタンを押すよりかは葛藤してたようなので究極の選択として掛けているのかもしれない。でも最後まとめるためにこういう展開にしたとしかおもえないんだよねえ。ボタンを押した報いとか急に言われても意味わからんよ。どっからでてきたのさ。
まあたぶんSFに分類されるんだろうから意味なんて求めちゃダメだろうけどねww
にしても色んなジャンルっぽく演出して総コケしたような感じだ・・・。とりあえず1500円中750円返せって言いたいねw
そうそう、地球外生命体に関しては作中では全く触れられていなかった。こいつが主軸にでてくればもっと普通にSFっぽくなったろうに。
究極の選択という割には葛藤が全くないので人の心の動きを描く物語ではないし、ミステリの歯車としての超常現象にするには地球外生命体というのは大きすぎてミステリという分類はできないし(ちょっとした超能力ぐらいならミステリの枠に御おさまるだろうが。ひぐらしをミステリと呼ぶには抵抗があるのと同じことだ)、地球外生命体は結局メインに据えられなかったのでSF映画として観ていいのかもわからない。
これ映画化するくらいならもっといい話があったろうに・・・。
次回予告、次は『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』を観たいなあ。『グリーン・ゾーン』も気になっているんだが。あー金ねえ、金返せ畜生。
余談だが、アーサー・C・クラークというSF作家をご存じだろうか。『2001年宇宙の旅』というSF小説の作者だ。おれの周りに読んでそうな人間はいない気がするが・・・w
あくまで僕の勝手な推測だが、この映画は『2001年宇宙の旅』のオマージュではないかと思う。
地球外生命体と言ったが、実はそれ自体は映画にはでてこない。そのかわり、ある事故で人間でなくなったヒトを手駒として使う。そのヒトが主人公たちにボタンをもたらしたのだ。
そのヒトは稲妻に撃たれたことによって一度死んだが、蘇った。撃たれた時地球外生命体に接触したらしい。で彼は人間を超えた。見た目はほとんど普通の人間だが身体機能は大きく人間からかけ離れていた。まあこのへんはあまり詳しく説明されていないのでデタラメを書いている可能性もあるが。
一方『2001年宇宙の旅』は、宇宙の果てまでたどり着いてしまった主人公は肉体を持たず精神だけの存在であるスターチャイルドになる。
宇宙のことで人間を超えるというオマージュがここにあると思う。というのも映画のなかでアーサーの名前が出てきたから勝手につなげてしまっただけなのだがww
だいぶながくなってしまったな。まだ書きたいことあるんだけど・・・w
最後にひとつ。もしかするとこの映画は仏教的ななにかに関わっているのかもしれない。というのも息子が感覚を失ったことを知った妻は「この世は煉獄だ」と嘆いていたし、夫が妻を殺す決意を固めたのは、上記の稲妻に撃たれた男が妻を殺さないと子供の感覚は戻らないと告げたのだが、彼が妻の言った「あなたがわたしを殺しても来世でまた会える」という言葉に肯定的な態度を取ったからというのがひとつの大きな要因だったのだ。
煉獄とか来世とかはキリスト教の教えではないんじゃなかろうか。よく知らないが。まあロマンチックさのためだけになにも考えず言わせたというほうが確率的には多いけどねw
あーつかれた。おやすみまた明日
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